キノコ狩り報告 天然マイタケ編 2020/10/10
はじめまして。テツと申します。
キノコ暮らしprojectという、中山間地域の子供達に自然の大切さや面白さを伝える企画の代表をしていますが、現在は特にこれといった活動は行っていません。
趣味はキノコハンティングで、休日や隙間時間は山に登って天然のキノコを探して歩いています。山菜も採ったり採らなかったり。
他にも山野草観察や地域の生き物の観察が大好きで定期的に地元の自然観察会に参加したり、散歩しながら四季折々の生き物の変化を楽しんだりしています。
今回のレポートでは、2020年の天然マイタケ狩りを振り返りまとめてみようと思います。
が、振り返る前に一つ質問です。
みなさんは天然のマイタケを実際に採りに行ったことや目撃したことはありますか?
私は以前Twitterを通して天然のマイタケを見たことがあるかどうか、アンケートをとったことがあります。アンケート内容と結果は以下の通り↓
アンケートの結果、天然のマイタケを見つけたことはないけれど、見つけてみたいという人が多いことがわかりました。
一般的にマイタケ採りに山奥まで行く人なんてあまりいませんよね。現代ならなおさら。
マイタケという名前の由来は見つけた人が発見できたことに感動のあまり舞ってしまうことから名付けられたと言われています。
人工的に栽培できるようになった今、当たり前のようにスーパーで購入できるキノコとなったマイタケですが、今も昔も天然物の希少さや発見難易度の高さは変わりません。
スーパーで気軽に購入できるキノコを、わざわざ危険を冒してまで山奥まで採りに行く人というのは余程の物好きという印象が今の時代は強いかもしれません。
しかし、天然マイタケは未だにキノコハンターの憧れであることは間違いありません。
天然マイタケの価値は非常に高く、サイズにもよりますが高単価で取引されますし、香り・味ともに栽培物を大きく上回る評価を受けているのも現状です。
今回まとめるのは、そんな天然のマイタケに出逢いに行った際のお話です。
1.きっかけ(〜そもそも予定になかったのに〜)
2020/10/10、この日私は予定ではコウタケというキノコを狙って山に行くつもりでした。10月半ばはコウタケのベストシーズンなので例年通り収穫もしくは生えてるかチェックや下見だけでもしておこうと思っていたのです。
前々から父親と行ってみる計画を立てていたのでそれを実行するつもりでした。
しかし、私と父が山に行ってくる〜と家族に伝えたところ祖父が危ないからついて行くと言い出しました。
さらには「俺(祖父)が案内する」と。
人が多い方が安心できるので嬉しかったのですがどうやら行く先が予定と違う。
どこに向かってるか聞いたところ、とにかくいい場所だと。なんとなーく嫌な予感がしはじめたのを思い出します。
2. 天然マイタケ探しはじまる(〜まさかのマイタケ〜)
軽トラに揺られながら移動すること数分、目的地に到着したみたいなので降りるとそこは山。適当に登り口を見つけ藪をかき分け山の奥へと入っていきます。ちなみにこの時午後1時。普通この時間帯からキノコ狩りをするのは危険なのでお勧めしません。
この時祖父に今日の狙いは何なのか?と尋ねたらやっとマイタケであることを伝えられました。
「それなら早く言えよ」と思いつつも内心天然マイタケ狩りは初めてなので非常にワクワクしていました。
でもマイタケにしろマツタケにしろ、珍しいキノコのありかって家族にすら言わず墓場に持ってくってよくいいますよね。
どうやらうちは教えてくれるようでした。
素直に教えてもらえる、体験させてもらえることに感謝しながら五感を通じて天然マイタケ狩りを学ぶことにしました。
それにしても山の斜面と藪のひどいことひどいこと。「こんなとこ人来ねーよ」なんて思ってしまいます。
雑技とササのコンボが容赦なく視界を遮りつつ体をビシバシ攻撃してくるのでしんどい部分もありました。
3.開放感(〜ブナ林はいいよね〜)
ある程度藪のある斜面を登るとそこは一転して余計な雑技のないブナ帯に入ります。
ブナ帯では不思議なくらい、怖いくらい打って変わって視界が開けます。
面白いくらい開放感があります。
枝や笹という障害物がなくなり、スムーズに歩けることに爽快感を覚えました。
林床には数多くのキノコや植物たちが生息しています。
苔むした木から生えてた硬質のキノコ。
熊の爪痕?油断はできません。
カバイロツルタケでしょうかね。
やや黒み、こげ茶が強い個体に思えます。
テングタケの仲間で有毒キノコです。
この森には天使が舞い降りていました👼
純粋なドクツルタケかどうかはわかりませんが、その辺のキノコであることは間違いなさそうです。
食べればおさらばです😇
純白の天使と大きさ比べ。
はめていた手袋との大きさを比較しました。
やはり、大きいですよね〜
木の割れ目から発生していた小さめの可愛いキノコたち。
落ち葉ロード🍂
蜂さんの巣がありました。
何の巣でしょうね?
とこのようにたくさんの植物やキノコに恵まれたブナ帯を爽快に疾走ていましたがその時はきました。
4.悲報(〜藪の道、再び〜)
結局のところ、キノコ狩りって甘くないんですね。
さっき藪から解放された!と思ったらすぐこれなんですから。
またしても藪まみれの道を歩むことになります。
しかもさっきよりひどい。
藪をかき分け、アップダウンを乗り越えながら30分近く歩きます。
5.先が見えない(〜さらに登るってさ〜)
そしてここからさらに上に100メートル(200かそれ以上かも)登るらしいです。登りましたが。
なかなかいい斜面だねぇ…
角度もあるし、登りがいあるじゃねえの。と強気になって斜面を登ることに。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、おそらく想像以上に角度あります。
それこそその辺に生えてる木を掴みながらでないと登ることはできません。
うまく足場を踏み外さず、かつ間違えて脆い枝を選ばず頑丈な枝を掴んで登るスキルが求められます。
光沢のあるカサ。クサウラベニタケと見て良さそう。毒なので手をつけませんでした。
立派な大木。ここまで成長するのにどれほどの年月を用いるのでしょう。この木はこの場所で何十年何百年とこの地を見守ってきたと想像すると、自然の力って凄いと驚かされます。
太くて立派。
おや、お初のキノコがありました。
素人判断なので食べることはしませんでしたがどうやらウラベニホテイシメジっぽいです。
先程のクサウラベニタケに似ていますが、こちらは食べれるキノコで傘に指で押した後のような班があるのが特徴です。
柄が太くてしっかりしていますね。クサウラベニタケにはない特徴です。
とはいっても個体差は十分ありますし、素人判断は危険。今回キノコに詳しい人は同行していませんでしたし、時間も限られてるのでスルーさせていただきました。
5.ついに発見(〜はじめての天然マイタケ〜)
おおよその目的地に到着しました。ここからは徹底的に怪しい木の根元付近を探しはじめます。
狙いは大きなミズナラの木。くまなく狙いの木を観察していると…
発見しました!マイタケです。
天然の、マイタケが目の前にありました。
初めて自分で見つけた天然のマイタケ。
大きなミズナラの木の下に株になって生えていました。
舞うほど嬉しかったのですが、舞ったら足元のバランスを崩して谷底へ転がり落ちることが目に見えていたので舞わずじまい。
なお、発見したのより大きいのもあったみたいですが誰かにナイフで採られていたようでした。ナイフで切り取られた後を見る限り大物…。残念…というより、ここをピンポイントでくる人がいるのかよ!とプロのキノコハンターの実力を思い知らされました。
マイタケ狩りが完了した後、何やかんやありながらも無事下山することができました。10月は暗くなるのが早いですからね。急いで下山しなくてはなりません。登り始めたのが1時でマイタケ発見が3時頃、下山完了が4時頃でした。いやぁギリギリの大冒険笑。
キノコ狩りは安全と正しい時間配分が大事ですからね。無鉄砲に午後からマイタケ狩りに行くなんてこと、素人は絶対やってはいけませんよ。
スギヒラタケにも出会ったよ〜
6.天然マイタケ狩りを終えて
と、まぁこんな感じで私の親子3代マイタケ狩りは無事終了しました。
なんやかんや天然マイタケを採りに行ったのは始めてでしたからね。いい経験出来たな〜と思っています。
やはり見つけた時は感動しました。天然物にはスーパーで売られているものとは遥かに違う何かがありました。
何より山奥の秘境に苦労してたどり着いた先にあった天然の宝物という存在と出会えたこと。そして親子3代で一つの宝探しを行えた喜びが一番大きかったと思います。
それはさておき、今回のキノコ狩りでは約800gほどの天然マイタケが採れました。量は決して多くありませんでしたが、はじめての体験という観点からみれば十分なのかなと思います。
20歳前にして天然マイタケ狩りというキノコハンターにとっての一代イベントに参加できたことに非常に喜びを感じました。
今年はこの一回しかマイタケ狩りは行っていません。来年以降は経験と知識を少しずつ増やしながら自分で天然マイタケを採取できるスキルを身につけたいと思っています。
収穫したマイタケ(天然物)
7 終わりに
ここまで記事を見てくださった皆さん、ありがとうございます。リアルなキノコ狩りってどんなの?って気になる方もいるかと思って、一つのキノコ狩り体験談の例として投稿させていただきました。
今後も定期的に2020年のキノコ狩り振り返りシリーズを投稿していく予定です。「このキノコ紹介して!」「この野草についてどう思う?」などなどリクエストや質問等有ればいつでもしてください。
また、TwitterやInstagram、noteや YouTubeもやっておりますので、是非フォローしていただけると嬉しいです。リンクは最下段に貼っておきます。
最後は今回登場のキノコを振り返って終わりましょう。
[カバイロツルタケ]
夏から秋にかけて広葉樹林内に発生する。
テングタケ科だがツバがないツルタケファミリーの仲間で、ツルタケを焦茶色にしたような見た目をしている。毒キノコなので興味ない人は相手にしない方がいいかもしれない。今年はよく見かけた…
[ドクツルタケ]
別名[破壊の天使]の異名を持つ猛毒キノコ。毒、という表現が好きな人なら知っているかもしれない。
夏から秋にかけて森に生える。というかいろんなところに生えるため遭遇率高め。
迷ったら白い野生キノコは食べない!を意識しよう。
[クサウラベニタケ]
イッポンシメジ科イッポンシメジ属
日本で最も食中毒事例が多いキノコの一つ。
毒性は強いが死ぬほどではないとされる。
地味な見た目で食欲をそそられるが食べてはいけない。「キノコを食べたければ勉強するんだな」と訴えていそう。
[ウラベニホテイシメジ]
イッポンシメジ科イッポンシメジ属
一つ上のクサウラベニタケの親戚のようなキノコ。
クサウラベニタケと比べると柄が忠実でしっかりしていたり、傘の表面に指で押したあとのような班があったりするなど違いがある。
食用となるが、このキノコとクサウラベニタケやイッポンシメジを間違って食べ食中毒する例が後を絶えないのでオススメはしない。
[マイタケ]
マイタケ属
秋、ブナ科の大木の根本に発生する。
スーパーで栽培ものが売られ、出回っているため知名度が高い。野生ものの発見と採取は熟練の技と知識を要するため難易度が高く、重宝される傾向にある。一度は採りたい野生マイタケ〜♩
[スギヒラタケ]
キノコにしては珍しくスギやマツをはじめとした針葉樹の古い切り株などに発生する白いヒラタケのような見た目のキノコ。
過去食用とされてきたが、近年では毒キノコ扱いされているため食べるべからず。
スギヒラタケについて詳しく知りたい方はこちら↓
[考察]我々はスギヒラタケをどう捉えるべきか|テツ《キノコ暮らしproject代表》|note
以上で今回の投稿を終わります。長い間ありがとうございました。次回以降もよろしくお願いします!
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